最初の欲求


騎士を真似て戦い続ける高レベル幻像。でも所詮は上辺だけで、騎士の責務も分からずに、騎士としての高潔さもない。


ただ人間の騎士の何かを守る行為に理解を試み、そして模倣しているだけ。「守る」の意義を知るからの行動ではない。槍を振るい続ければ、いずれ栄光ある騎士になれると信じるだけ。

結局、戦場の悪霊如く、永久で虚無な闘争に囚われ、戦闘と死の輪廻から抜け出せない。戦をやめたら、全てが無意味となる。

その翼は知らぬうちに、漆黒の模様となった。


※画像はイメージです。実際のゲーム画面とは異なることがあります。

かつて栄光の象徴である槍も、浸食され、異化を果たし、不祥な気配を放っている。



「騎士」の死闘


この騎士との戦闘は、三つのフェーズがある。各フェーズにおいて、その戦闘スタイルと脅威はそれぞれ。漂泊者ほどの強者と戦っている間に、彼の状態もゆっくり変化しているのであった。


フェーズ1.小手調べ

最初はマントを羽織って、手足で戦う近接戦スタイルで出場。


このフェーズでの技は緩く、攻撃の準備と攻撃後の態勢整えも長い、隙だらけに見える。チャンスを掴んで反撃を食らわせよう。


その回避の動きも余裕に見える。漂泊者への小手調べと挑発の意を込めた行為であろう。


でも脅威は普通にある。騎士はしゃがんで拳を中心に、周囲への広範囲衝撃波を放てる。動きは大きいけど範囲も広く、油断すると大ダメージを食らう。


目覚めてから初めての強敵もあり、漂泊者も緊張しているだろう。少しのウォーミングアップで、相手の動きに慣れる必要がある。このフェーズでは、段々攻撃と回避のタイミングが摑まえる。


フェーズ2.本調子

軽く準備運動の後、彼は目の前の強者に興味が湧いて、興奮状態に入る。ここで戦闘はフェーズ2に突入する。

まずは、戦闘スタイルの変化。彼は余裕のある態度から一転し、ボクシングに近い姿勢を取った。警戒、そして本気。いつでも攻撃と回避を行える、そんなスタイル。


度重なる戦闘で磨いてきた武も、精進して更に熟練となる。

攻撃の動きは更に高速で避けられにくい。その上、連撃も行うようになる。


力を溜めてから放てる、破壊力絶大な一撃は脅威だが隙も多い。反撃の機会になるはず。


このフェーズの戦闘では、彼はより人間らしい戦い方を取る。ボクシングに近い姿勢といい、色んな近接戦の技といい、人間への高速な学習、そして模倣の能力を見せた。



フェーズ3.怒り狂う

戦闘で破損したマントは消え、代わりに巨大な翼を広げる。槍を手にするその姿は本物の騎士如く、漂泊者に最後の死闘を仕掛ける。

このスタイルで、彼の戦い方も一変する。拳や足による近接戦から強力の槍攻撃に変化し、翼による空中からの攻撃も可能になる。

槍の横薙ぎに対して漂泊者は普通、一撃目を簡単に避けても、すぐさまの二、三撃目を食らう。三連続横薙ぎの範囲は逐次増加することから、回避のタイミングも厳しくなる。


槍の攻撃以外、たまに鋭い羽を飛行道具として放て漂泊者に襲う。これは騎士らしくない所業だけど、怒った彼には勝利のためにどんな手段も厭わない。


空中からの攻撃は、地面の方よりよほど強力。攻撃のパターンは大量にあり、攻撃範囲や速度も著しく向上し、いずれも脅威的。

槍の横薙ぎの回数も増して、刃のような翼による攻撃と組み合わせて、漂泊者に畳み掛ける。



何より、空に飛んだ後の翼は槍と同時攻撃できるだけでなく、空中で更に広範囲の竜巻を元々の羽投擲に代わって仕掛けてくる。


力戦の後、引き離された騎士は漂泊者の刃に消された。彼は、自分の「冠」を到底掴めなかった。

「冠」とは、子供が成人になる証である「冠礼」であり、彼が人類への最初段階の模倣である。本当に人類を理解した暁には、模倣で得る「冠」ではなく、自分だけの「冠」が得られるだろう。

それに、この戦いもこれから、漂泊者と無冠者の因縁の始まりに過ぎないであった。