モルトフィーは流れる焔のような真紅の髪の毛を後ろに束ね、その瞳の奥に孤高の気高さを秘める。

彼と初対面の時でも、すぐにその優雅ながらも危ない雰囲気を感じた。よく見る融通の効かないタイプや口下手なタイプの研究者と違って、余裕を持つ貴族という印象が強い男だ。しかし、その目線からは焼かれるほどの灼熱を感じる。灰燼に埋もれた巨竜の如く、彼の優雅も火山の表面に積もる雪に等しいものなのだ。

私は彼の関係者を複数人訪ねて、得た情報をノートにまとめました。これからそれを皆に共有いたします。




紅竜は流れる焔の中に

モルトフィーのイメージは西洋伝説にある火竜に由来する。

彼の音痕は右胸にあり、右腕全体を染めるようにその近くの皮膚は鱗状の赤い結晶に覆われている。その形状は資料に記載された火竜の鱗と似ている。彼は包帯と耐火グローブでそれを隠そうとしているが、怒った時には、その赤い「鱗」が急速に成長し、隠しきれなくなってしまう。

その赤い結晶のおかげで、モルトフィーはより上手く火炎を制御することができる。焔が彼の意志のままに腕を覆う鱗に沿って流れる様は、まるで紅竜が爪を見せてくれるかのようだ。そして、次第に紅蓮の紋章を彼の背後に浮かばせ、竜の形となっていく。






上品で優雅な理系男子

彼のラボはいつもクラシック音楽が流れている。複雑で精巧に絡み合うクラシック音楽は、科学研究のお供としてピッタリだ。その旋律は彼の刹那的なひらめきを印象深く刻み込んでくれる。抑揚があり、人を感動させる楽章の進行とともに、彼はそれを演奏するように、焔で空中に公式を書いていく。

どれ程忙しい時期であっても、モルトフィーの一日にはオシャレなアフタヌーンティーが決して欠かせない。彼はオシャレなお菓子を好んでいる。何故なら、甘味の摂取は頭脳労働で失った糖分を補充できるからだ。


貴族出身のモルトフィーにとって、身だしなみは念には念を入れるべき事柄だ。しかし、科学研究以外のことに時間を費やしたくない彼は、髪の毛を後ろで束ね、クリーンなイメージに仕上げている。加えて、いつも同じモデルの白衣を着用しているが、潔癖症かと思われるほど服装の清潔感には注意を払っている。もちろん、いつ訪れようと、彼のラボは常に清潔だ。




孤高で荒い気性の持ち主だが、容易に他人を傷つけたりはしない

彼の冷たい表情と、鋭くて傲慢な目つきから読み取れるように、モルトフィーは決してお人好しではない。


彼は気性が荒く、科学研究以外のことにはこれ以上ないくらい短気である。そして、イライラする時は、いつも無意識的に紅竜の模様の付いたライターを手に取って弄る。もちろん、元よりライターで火を付けることはない。本当に彼の堪忍袋の緒が切れたとしたら、ライターなどの助けは不要だろう。

貴族の生まれと教育は、その傲慢ながらも優雅さを感じられる言動の要因だ。貴族同士の社交辞令、偽りの態度と抑圧的な雰囲気。これらは彼の心で燃え盛る焔にさらなる刺激を与えてしまった。彼の傲慢さは身の程知らずの間抜け共に対する挑発だ。そして、彼の焔は冷酷非情な偽り者に仕掛ける攻撃なのだ。






紅竜ではなく、ただの不機嫌なネコさん?!

モルトフィーは理由もなく怒ることはない。実は情にもろく、他人に容易に説得されるタイプだ。怒り全開の時でも、相手が少しでも引き下がって、彼の研究成果を称賛してさえくれれば、彼はすぐ融通が効く男に一変する。その場合、いくら非常識な構想でも、条理を立ててきちんと全体像を説明してあげれば、彼はそれの実現に全力をかける。このように、紅竜より毛を逆立てている猫に似ている瞬間は多々ある。そういう時は優しく撫でてあげれば彼の機嫌を取り戻せる。


このトリックを利用して、彼の感情スイッチのオンオフを切り替えることができるだろうが、もちろんそういうことはさすがに推奨できない…






モルトフィーだけの焔

焔にも様々な色がある。モルトフィーの焔の色は、彼の憤怒に相応しく、まるで余燼の下に蠢く溶岩のような真紅だ。その焔は、抑圧された幼少期と学問を修める過程を経て徐々に象られていき、最終的には特定の条件で燃え盛ることになる。彼は、偽り者や身の程知らずどもに対する憤怒という名の着火剤を、やつらが灰燼に帰すまで投下し続ける。

現在、彼は爆炎のように弾けそうな感情を科学研究に注ぎ込んでいる。気性の荒っぽさが好転しない限り、その焔は決して消えることはないだろう。

もしかすると、モルトフィーという天才発明家が、それを想定した上で、自分の怒りを循環させ、それを上手く利用するための回路まで設計したのかもしれない。




憤怒の焔に咲き誇る紅蓮

モルトフィーの焔は彼の感情の具現である。戦闘の進行によって、「焦燥値」が累積され、それに応じて共鳴スキルが強化される。相手は紅竜の燃え盛る怒りをたっぷりと味わうこととなる。




通常攻撃

モルトフィーは黒石の力を秘めた双銃を駆使して戦う。攻撃が命中するたびに、バーストを放つためのパワーが溜まる。

彼の優雅で気高い射撃術は、撃つたびに「焦燥値」が溜まる。

長押しで貴族の優雅な照準モードに入り、より精確に相手を狙うことが可能。さらに、より威力の高い強化弾丸を放つ。




共鳴スキル

紅竜は燼滅と共に咆哮を上げ、その焔を以て敵を灰に変える。モルトフィーが素早く前方に火炎を放出し、「焦燥値」を溜める。




共鳴回路

モルトフィーは己の怒りを制御するとしているが、戦闘でその怒りの焔を鎮めることはできない。「焦燥値」が満タンになると、モルトフィーは全面に紅竜の存在を受け入れ、すべての「焦燥値」を消費し、焔のエネルギーを竜の姿に変換させ、より広範囲の敵を焼き尽くす。




共鳴解放

紅竜の威厳は焔と共に解放され、モルトフィーを中心とする一定範囲内の敵にダメージを与える。

猛威を振るい、次第に強くなる火炎の嵐の前で、彼の相手に許される行為は、ただ無力に震えることのみ。



 



関係者への訪問を通して、徐々にモルトフィーの物語の筋書きが繋がりました。まとめると、「荒い気性が彼の本質。科学に尽くすことが彼の志。優雅と孤高が彼の装飾。気分屋であることが彼の可愛いところ」といったところでしょうか。

私も紅竜の焔に魅せられた一員になり、このノートを作成した次第です。

これからも、漂泊者の皆に『鳴潮』の登場キャラクターたちに関する情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!